気分転換をしたくて
夜風に吹かれようと思い
コートを着込んで外に出た。

 

「便利な田舎」
親しみを込めてそう呼んでいる
この街の星空は
程よく街灯りに照らされているので
目視できる星の数が
生まれ育った田舎で見ていた
その数よりも、うんと少ない。

一つの星が目に留まった時
ある記憶がよみがえった。

 

私が星を好きになったのは
小学校に上がる前のこと。

幼稚園の遠足で
プラネタリウムへ行ったのが
キッカケとなり
星空に興味を持ち始めた。

学芸員さんの解説
「この星は地球から
1万光年離れたところにあるんですよ」

イチマンコウネン?

とにかく、すごく遠いところ
なんだろうなぁというくらいの
理解だったと思う。

その解説に続き
「ですから、星空を見上げて
今日の夜、光って見える星でも
実は燃えてしまって
今はもう無いかもしれないんですよ」

見えるのに、無い?

考えるのを止めて
プラネタリウムの一点を見つめながら
幼稚園児の私は
星の、宇宙の不思議に
どんどん心を奪われていった。

 

昭和、平成、令和・・・
あっという間に半世紀の時間が流れて
幼稚園児もアラフィフ主婦となった。

50年/1万年

今もあの星は
燃えながら存在しているのだろうか。
それとも
光を届けてくれているだけで
今はもう、燃え尽きて
存在していないのだろうか。

折に触れて浮かぶこの疑問
ずっと持ち続けているのを
また思い出した。

人生の後半戦を過ごしながら
「いつか光の道をたどって
星のある場所を見に行ってみよう」
まるで故郷へ帰ろうとしているような
懐かしさを覚える。

 

幼少の頃の純粋さを
全開にして生きられない
今の矛盾や葛藤を紛らわすのに
冬の冷たい空気と
私だけのファンタジーはちょうど良かった。

家の中へ入るのに扉を開けた頃には
気分転換をするために
外へ出た自分はいなくなっていた。

「実は燃えてしまって
今はもう無いかもしれないんですよ」

わっ、私ってば!

 


星野 華..:*✽
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星野 華
季節の移ろいを感じ、星空からのメッセージに耳を澄ませ、思い込みや常識に距離を起きながら軽やかに生きるための【心の整え方】を、お手紙にしてお届けしています。